日本男子初の快挙!
ついに……ついに、この日がやってきました!
羽生結弦が日本男子フィギア初の金メダルを手にしました!
フィギア界では荒川静香に続いて2人目の金メダル、冬季五輪男子では長野以来の快挙だそうです。
本当におめでとうございます!
オリンピック男子フィギアフリースケーティング。
SPを驚異の3桁得点で首位で折り返し、金メダルに手が届きかけたかと思えた。
そこで彼はどんなことを思っていたのだろう。
昨日まであれほど強靭な精神力を誇っていた羽生も、ついにオリンピックの魔物に魅入られてしまったのか……そう思った。
演技を終えた瞬間、得点を見た瞬間、正直金メダルはもうないと思った。
やはり、絶対王者のチャンが金メダルなのか。
しかし、チャンもまた思ったに違いない。
「これで普通に滑れば俺が勝つ」と。
金メダルにあと一歩で触れられるところまできて、彼もまたオリンピックの魔に掴まってしまったに違いない。
それでもチャンが滑り終わった瞬間、彼は金メダルを確信しただろう。
私もチャンか……と思ったが、今大会神解説を連発していた本田武史が「届かないんじゃないでしょうか……」と言ったので彼を信じて待った。
結果、金メダルはチャンの手元をすり抜けて、羽生のもとへ戻ってきたのである。
羽生は魔物に掴まったかのように見えたが、実は最後の最後で“運”を使って金メダルを手にした。
チャンは、世界選手権3連覇中の絶対王者だが、思えば彼のピークは10-11と11-12シーズンだった。
実は当時もトリプルアクセルで何度か失敗はしていた。
しかし、余りにも圧倒的過ぎて誰も彼の弱点について指摘することはしなかった。
それが今季羽生が、後半にトリプルアクセルからの連続ジャンプを2回組み込むという驚異的なプログラムを引っ提げて台頭してきたため、彼の弱点が浮き彫りになってしまったのである。
羽生もチャンも同様に失敗をしたが、勝敗を分けたのはプログラムそのものが持つ力=基礎点だったと思う。
そういう意味では、オーサーコーチと振付師デイヴィッド・ウィルソンの戦略勝ちとも言えるだろう。
町田は、ジャンプでいくつかミスがあったが、最後のステップで音楽と共に盛り上げた演技は見事だった。
ハビエルは4回転を2回成功させたが、最後のトリプルサルコウでザヤってしまった。
二人ともジャンプでのミスがなければ銅メダルを手にしていただろう。
その中でミスなく滑り切ったカザフスタンのデニス・テンが、祖国にフィギア初のメダルをもたらした。
そして、高橋大輔。
彼は、最初の4回転が両足になり、2つ目のジャンプをルッツに切り替えた時点で、もうメダルを諦めたのではないかと思う。
しかしだからこそ、そこから高橋大輔の真骨頂を見せた。
決して完璧ではなかったが、どこか諦観したようにも思える優しい笑顔で刻まれていくステップは、集大成となる演技に相応しいものだった。
最後に一つ。
競技終了後のフラワーセレモニーで印象的な出来事があった。
デニス・テンとチャンの後に羽生の名前がコールされ、彼はいつものようにリンクに触れて、手についた氷の感触を確かめるようにしながら滑り出した。
何度もお辞儀をしながら表彰台に向かう。
チャンは、彼が表彰台に辿り着くのを見ていたが、まず一礼し、更に表彰台にも挨拶代わりのタッチをしてから登壇する羽生を見て驚愕したような表情を浮かべていた。
そして、それまで得点が発表された時も、全ての演技が終了した時も笑顔を絶やさなかったチャンが、初めて「負けた」という顔をしたのである。
思うに彼は、今回敗れはしたがどこかで「自分こそが王者だ」という想いがあったのではないか。
しかし、羽生が五輪にかけてきた想いを初めて間近に見て、初めて負けを実感したのではないかと思う。
あと、表彰台の上に立って「オリンピックだー!」って顔をほころばせる羽生君可愛かったね♥
今大会、演技内容という意味では日本人3選手含め多くの選手が満足のいく内容ではなかった。
神演技は3月の世界選手権までのお預けとしようと思う。