【書評】憂国のモリアーティ
お久しぶりです。
約2年半ぶりの記事です!!
そろそろ1月も終わりですが、お正月休み、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか?
私は、『ミステリと言う勿れ』全巻と、『憂国のモリアーティ』全巻をBOOK OFFで大人買いし、休み明けもしばらく読み耽っていました。
この『憂国のモリアーティ』が恐ろしく素晴らしいので、ぜひ紹介したい!!
いわゆる「ホームズ・パスティーシュ」もので、ホームズの宿敵であるモリアーティ教授が主人公。
原作(聖典)で描かれてるモリアーティとだいぶキャラが違うけど、それはワトソン医師(=コナン・ドイル)が、モリアーティの真の姿を隠すために描いた架空のキャラ、という設定。
と言いつつ、私、なんと聖典を未履修です……。
私のホームズに関する知識は、名探偵コナンといくつかのホームズ・パスティーシュとWikipediaからの知識です。
小学校の時、図書室にあった児童書のシリーズでルパンにハマり、隣にあったホームズも読んだけど全然ハマらず、1冊目を読み終えずに返した。
専門はイギリス近代史なので、ドンピシャなんですけどね。
で、この漫画の何が凄いかって、聖典だけじゃなくて、歴史も絡めてくるところですよ。
歴史もの作品の場合、「史実とどう絡めるか」「どこまでを史実で、どこからフィクションにするか」というところが作者の腕の見せどころなわけですが、この作品は更にそこに”聖典”が絡んでくる。
しかも、“聖典”は実は1つではない……。
007シリーズも絡んでくるし、第二部ではアメリカに行ってビリー・ザ・キッドが絡んでくる。
ビリー・ザ・キッドって私知らなくて、ググりました。
なんでアメリカ?って思って、調べたのですが、あるんですね、聖典に。
アメリカが舞台の話が!(恐怖の谷)
この話を出すために、アメリカに行かせて、ビリー・ザ・キッドを出すって、構成が秀逸すぎて驚嘆しかない。
その前の、007との絡みもメチャクチャ凄いのだけど、これはぜひ読んで驚いて欲しいので、詳しく書かないことにします。
この作品、2020年秋~アニメをやっていました。
3巻くらいまで読んだところで、「あ、これ買って読まないとダメなやつ」と思って、大人買いリストに入れたままだったので、原作を全部読まないままアニメを視聴。
ジャンプで連載中のゴリゴリのクライム・サスペンスなのに、なぜこれを女性向けにアニメ化した!?
確かにイケメンがいっぱい出てくるけどっ!!
と、アニメ視聴時は思っていたけど、原作を全部読んでみると、「あ、これ女子にウケるやつ」と納得。
その上で、原作の世界観を全く壊さず、ストーリーもほぼ原作に忠実に、アニメ化したのはホントに素晴らしい。
原作まんまでどうやって女子向けにするかっていうと、キャラクターの“所作”なんですよ。
例えば、振り返る時に無駄に髪の毛をファサッとさせるとか、キャラクターの所作がみんな美しく優雅。
でも原作は、ゴリゴリのクライム・サスペンスだし、結構グロいシーンも多いし、あからさまなエロシーンはないけど、女性キャラの胸は無駄にでかい……みたいな、普通のジャンプ作品だと思う。
19世紀イギリス好きと、歴史好きと、ホームズ好きの皆様にお勧めします!
~余談~
ホームズ・パスティーシュでもう1つ素晴らしかったのは、松岡圭祐の『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』
ライヘンバッハの滝に落ちて、死んだとされていたホームズが、復活までの3年間実は日本に亡命していて、大津事件の解決に一役買う、というストーリー。
伊藤博文のイギリス留学中に会っていたエピソードとかもあって、絡みが素晴らしい。
ホームズフリークならもっと楽しめたんだろうな、と思う。
やはり聖典を履修していないと色々弊害があるので、やっぱりホームズシリーズもう1回チャレンジしようかな、と思う今日この頃。