Fleur de Noir

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羽生結弦を孤独から救ったハビエル・フェルナンデスの初優勝―世界選手権2015

お久しぶりです。

年末あたりからSNS疲れみたいになってしまい、フィギュアのイベントもないのでしばらくお休みしよう……、と思っていたら、私事でバタバタしたりして、なかなか復帰できませんでした。

本当は四大陸と世界Jr.の記事も書きたかったのだけど、余りにも時間が経ち過ぎてしまったので、今シーズンの総括記事でまとめて触れたいと思います。

 

さて、今シーズンの集大成となる世界選手権が終了した。

羽生結弦、二連覇なるか!?と期待されたものの、結果は銀メダル。

残念がる声も聞こえるが、私はむしろこの銀メダル……というか、ハビエルの初優勝が羽生を救ったのではないかと思っている。

 

今シーズンの羽生は開幕直前の腰痛に始まり、中国杯での衝突事故・大怪我、年末の手術・入院とアクシデント続き。

にも拘らず、NHK杯こそ4位だったものの、GPFでは二連覇、続く全日本選手権でも腹痛を抱えながら三連覇を達成した。

そして世界選手権のSPで、手術明けながらSBを更新して1位発進。

もうこの人は、一人異次元というか、別の世界で闘っているのではないか、そして、それは弱冠二十歳の青年にとってもの凄い孤独感をもたらすのではないか、そんな風に思えてならなかった。

 

事実、2015年現在、国内に羽生と対等に勝負できる選手はいない。

唯一町田が近いところまでいっていたが、年末の全日本をもって突如引退。

小塚や無良はもちろん、期待の宇野もまだそのレベルには至っておらず、世界に目を向けても、パトリック・チャン不在の今季、ハビエル・フェルナンデスデニス・テンと羽生の三つ巴だったが、やはり羽生が頭一つ飛び抜けていた。

私は正直、羽生の二連覇に期待しつつも、

「もうハビーでもデニス・テンでも誰でもいいから、この同じ高みに登ってきてくれ」

という思いの方が強かった。

そして、羽生に4回転失敗があったとは言え、見事ハビエルが2度の4回転を決め、その高みに登ってきてくれた。

彼は羽生のトレーニング・メイトであり、最も近いところで切磋琢磨しあっているライバルであったことは何よりのことだと思う。

同時に、スペインに初めての世界選手権金メダルをもたらした功績も高く評価したい。

羽生自身も記者会見で、

でも、ぼくは心が広くないので悔しい。絶対勝ってやりたいと思いますけれど、一緒に練習している仲間が勝つというのはこんなにも嬉しいものなのか、ということもわかりました

とコメントしている。

“悔しいけど、それと同じくらい嬉しい”

この気持ちが、羽生に「一人じゃない」ということを感じさせ、来季以降の彼の原動力になればと願っている。

羽生とハビエルの友情に泣ける会見記事だった。