Fleur de Noir

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団体戦結果と個人戦への展望

フィギュアスケート団体戦が行われ、日本は5位という結果だった。

事前に、団体戦のメダルは 

「色は分からないけれど、男女シングル・ペア・アイスダンスの4種目で総合的にレベルの高い、 ロシア、カナダ、アメリカで決まりだろう」 

と予想していたけど、本当に何の番狂わせもなく、世界ランキングの順でメダルが決定してしまった。 

勝因としては、やはりこの3ヵ国がかなり“本気で”メダルを狙いにきてたということに尽きるだろう。 
ロシアがリプニツカヤアメリカがデービス・ホワイト組、カナダがバーチュー・モイヤー組を連続投入してくるあたり、その本気度が窺える。 
一方で4年後も団体戦が行われるとしたら、その展望も少し見えてきた。 

というのも蓋を開けてみれば、フィギア4種目で世界トップクラスを揃えてきたのは、メダルを獲得した3ヵ国だけだった。 
日本のカップル競技は弱すぎだが(高橋・木原組やリード姉弟を非難しているわけではないので念のため)、同じく決勝に進出したイタリアもメダルを狙えるのはコストナーのみ。 
男子は最下位だったし、ペアとアイスダンスもトップクラスではなかった。 

他、決勝進出を逃した中国はペアの伝統国だけど、今季の成績では辛うじて銅メダルを狙える程度。 
ドイツはペア競技のみ金メダルを狙える2人を有しているけど、肝心の有力ペアが個人戦を重視して団体戦を欠場。(ドイツは、他種目の実力からみてメダルの可能性が薄かったせいもあると思う。) 
男女シングルで世界トップクラスを誇る日本は、実はそれほど悪くはなかった。 

つまり、このまま男女シングルのレベルを維持して、カップル競技を強化していけば、相変わらず番狂わせ待ちにはなるけれど、4年後にメダルを獲れる確率はかなり上がると思う。 

今季で有力選手がごそっと抜けるので、シングルの今後を心配する声もあるが私はそうは思わない。 
男子では羽生結弦が残り、宇野昌磨は次のエースに育つだろう。 
宇野はまだ16歳だが、今季の世界ジュニアの成績如何では来季からシニアにくるかもしれない。 
女子は宮原知子本郷理華がいる。庄司理紗もいる。多分、村上佳菜子も……。 
今大会と同じ順位点を獲得するには充分な人材が揃うだろう。 

加えて高橋・木原組がせめて5位か6位辺りを安定的に狙える実力をつければ、大分状況は変わってくるのではないか。 
彼らが4年後にメダルを狙えるペアに育つかは分からないが、高橋はマーヴィンと組んで世界3位の実績があり、結成1年でここまで来たことを考えれば、高橋・トラン組と同程度のレベルに上げてくる可能性は充分あると思う。 
まだ21歳の二人もピークは4年後だと思うので、ぜひ頑張ってほしい。 

4年後という意味では、アイスダンスの方が心配。 
リード姉弟はまだ頑張れるのだろうか。。。 
全日本には4組ほどアイスダンスカップルが出場していたが、連盟には後進の育成に力を注いでほしいものだ。 

次に団体戦を経て見えてきた個人戦。 
私は、団体戦の日程が個人戦の前にあることがずっと不満だったが、羽生結弦の演技を見てその考えは吹っ飛んだ。 
特に、メダルを狙えるほどの総合力のない国の選手にとっては、ノープレッシャーで五輪の舞台で試せるチャンスであり、 
ここでジャッジに良い印象を与えることで、個人戦を有利に運べるというメリットがある。 
また、上手く滑れなかった選手も、個人戦までに立て直すべき課題が見えただろう。 

気になるのは、羽生以外の日本人3選手が“五輪の魔”にのまれてしまったこと。 
浅田はトリプルアクセルで転倒し、町田は4回転が1つ3回転になり、そのせいでコンビネーションが2つになり、セカンドジャンプが2つともダブルになってしまった。 
鈴木明子も全体をまとめたように見えたが、いくつかのジャンプでステップアウトし、アンダーローテを取られた。 
この3人がどう立て直してくるか、気になるところである。 

そして、団体戦に出場していないので詳しくは分からないが、高橋大輔も心配だ。 
何がって「モスクワでは軽めの調整をしていた」、という発言。 
彼は猛練習が自信に繋がるタイプなので、果たして“軽めの調整”でどこまで自信を持てるのか。 
実際のところは、本人とコーチしか分からないところだ。 

ペアとアイスダンスについては、日本にメダルの可能性がほぼないので、ある意味で安心して見られる(笑)。 
アイスダンスは今回もカナダとアメリカの一騎打ちになりそう。 
個人的にはアメリカのカップルに悲願の金メダルを獲ってもらいたいところである。 
ロシアのカップルは、フリーダンスで滑ったイリニフ・カツァラポフ組の白鳥の湖が凄く良かった。 

ペアは、ドイツのカップルの状態が気になる。。。 
スロウトリプルアクセルは跳ぶのだろうか。 
中国も、団体戦に出ていた彭程・張昊組は4回転のツイストリフトを持っているので、これも見ものである。 

なんだかトリノ五輪と同様の負のスパイラルにはまってしまったようなソチ五輪だが、まだまだ競技が始まって1週間も経っていないので、今後に期待したいところである。