復活!メドベとタクタミ
こんばんは、虹風憂璃です。
2019-2020シーズン始まりましたね。
新しい記事の目途が立っていない……と先日書きましたが、ロンバルディア杯とオータムクラシックの結果を見て、昨シーズンのまとめ記事で書こうと思っていた内容と少し被る部分があったので、一記事としてまとめて書こうと思います。
エフゲーニャ・メドベージェワ
“ベテラン”というと語弊がありそう―2019年9月現在でメドベはまだ19歳、タクタミですらまだ22歳―ですが、ティーンエイジャーが雨後の筍のように湧く、かつ熾烈な競争に勝ち残れずに10代で消えていく選手も数多くいるロシア女子で、ソチ五輪以前からジュニア・シニアのトップクラスで活躍しているというのは、充分ベテランの域です。
メドベは、平昌五輪直前まで本当に無敵でした。
オリンピックでは後輩のザギトワに金メダルは譲りましたが、もしGPF前の怪我さえなければ、結果は変わっていたと思います。
おそらくオリンピック時点ではまだ怪我の治癒が完全ではなく、ジャンプが本来のものではありませんでした。
五輪後、カナダに拠点を移したタイミングでロシアンタイマー発動。
環境変化によるストレス、怪我の治療のためのトレーニング抑制、食生活の変化……などなど、複数の要因も重なり、苦しい1年でした。
それでも、今年の世界選手権では銅メダルを獲得するまで戻してきました。
日本の多くのスケオタは彼女に同情しています。
リプニツカヤが不調に陥ったシーズン、入れ替わるようにシニアデビューし、世界タイトルを掻っ攫う彼女に、最初は批判的な声もあったかと思います。
しかし、ソチ五輪後の3シーズン、10代の少女が世界のフィギュア女子を牽引してきたのも事実。
ところが、五輪シーズンになってまた新しい有望選手が、またもやエテリ組から現れます。
私には、これから彼女がどのような扱いを受けるか、行く末が見えた気がしました。
怪我をしたのは本当に偶然でしょうが、調子が落ちきる前に拠点を変えたのは正解だったと思います。
もし、リプニツカヤのように、調子が落ちきった状態でコーチを変えていたら、復活は難しかったかもしれません。
また、エテリ組は体重制限や食事制限が厳格ですが、怪我から復帰した直後のメドベの体型は、ちょっと心配になるくらい細かった。
トレーニングできない間に筋肉が落ちてしまっていたのでしょう。
その点、チーム・ブライアンは栄養管理をしっかりと行った上で、適度に食事を摂ることを推奨するようです。
一時的には太りましたが、怪我を治すという意味でも、結果的には正解だったと思います。
エリザベータ・トゥクタミシェワ
ソチ五輪前から活躍し、かつ今でもメダル圏内を維持している数少ないロシア女子。
本当に、本当に、オリンピックに縁がない……。
ソチ五輪前は代表候補筆頭だったのに、五輪シーズンにロシアタイマー発動……。
「タクタミがジュニア時代に唯一、直接対決で勝てなかった相手」という触れ込みでシニアデビューしたソトニコワが、ソチで金メダルを獲得したのは相当悔しかったでしょう。
そのソトニコワも、五輪金の後、全く見ないのだけどまだ引退したとは聞いていない……。
その後3年間は、波がありつつもメダル候補くらいは維持していたけど、平昌のシーズンにまた調子を落として五輪を逃す……。
今も現役を続けているということは、北京を目指すのかな。
年齢的には難しいけど不可能ではない……という微妙なライン。
やっと本題
そんな二人が、それぞれオータムクラシックとロンバルディア杯で2位に入りました。
とはいえどちらも、1位の紀平とシェルバコワがほぼノーミスだったのに比べ、小さなミスがいくつかあっての2位なので、そこまで悲観することはありません。
これらの大会への出場目的は優勝ではなく、あくまで「プログラムの採点の基準値を探る」こと。
特にメドベは、昨季に比べ体が絞られ、かといって細すぎもせず、シーズン序盤としては良い体型を作ってきたと言えます。
今後プログラムを磨き、体を絞り込んでいけば、トップに返り咲くチャンスはあります。
おまけ:アリーナ・ザギトワ
ザギトワも五輪金のあと調子を崩し、2018年の世界選手権ではありえない演技で5位に沈んでしまいました。
昨シーズンもかつてほどの無双状態とは言えず調子を落としています。
しかしザギトワはそこで踏ん張りました。
2019年の世界選手権では見事1位を獲得します。
昨シーズンのロシア女子の代表選考は混迷を極めていましたが、あの時彼女らに最も同情的であたたかい視線を送っていたのは、日本のスケオタだったと思います。
長くフィギュアを見てきたファンは、ソチ五輪前からのロシア女子代表争いの過酷さをみんな知っています。
なのにロシアのファンや連盟が、彼女たちになんと冷たいことか。
実力勝負の世界とは言え、長く国を背負って戦ってきた選手たちへの敬意はないのか、と聞きたいです。
他にも、世界選手権やGPSでメダルを獲ったにも関わらず、今やトップクラスでは活躍していないロシア女子は多くいます。
ラジオノワやポゴリラヤが今後トップに復帰するのは難しいのではないでしょうか。
それどころか、ジュニアでトップクラスだったのにシニアに上がると同時に消えていった選手たちもいます。
メドベとタクタミ、そしてザギトワには、ロシア女子の熾烈な競争の中で、何とか踏ん張って、息長く活躍してもらいたいものです。
余談:今シーズンもマイナー目線
羽生と紀平の優勝に湧くメディアをよそに、マイナーなところに注目してみました。
メジャーどころはメディアと他の方にお任せして、私は自分の好きなことを書きます(笑)。
そして今週末のUSインターナショナルでは、田中デカと山本草太が好成績を残しています。
山本のエデンの東、まっちーのに並ぶ名作になる予感!