Fleur de Noir

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コーチについての個人的見解

オフシーズンになり、ルール改正が話題ですが、引退・休養・移籍ネタも活発な今日この頃。

有名どころでは、パトリック・チャンハビエル・フェルナンデスが引退を、ケイトリン・オズモンドが休養を発表した。

そして、最近気になっている移籍&コーチネタあれこれ。

●コーチのグローバル化

移籍ネタでは、なんといってもクリケットが賑やかだ。

ロシアのメドベージェワだけでなく、中国の金博洋、アメリカのジェイソン・ブラウンのクリケットへの移籍が発表され、大変驚いた。

ジェイソン・ブラウンは北米同士だからともかく、ロシアと中国という旧二大共産圏の選手が北米のチームに移籍するというのは、幼いながらもベルリンの壁崩壊をリアルタイムで知っている世代としては隔世の感がある。

(ちなみにイタリアのコストナーがミーシンについているのも驚いた。ロシア人コーチはロシア人しか教えないイメージがあるので。)

というか、そもそもその二ヶ国は、北米どころか他国のコーチについている選手がほとんどいない。

中国なんて、ペア以外は世界トップクラスの先人がほとんどいないのに。。。

ただ、メドベとボーヤン、二人の選手にとってこの移籍の選択は正解だと思う。

ボーヤンは17-18シーズン、ジャンプ偏重のプログラムからの脱皮を図り、少なくとも前シーズンよりは格段に表現の部分が良くなった。

“トータルパッケージ”を大事にするチーム・ブライアンを選んだのは、その部分をさらに伸ばすのに有効だと思われる。

メドベは元々トータルパッケージ化されている選手だが、正直エテリ組に嫌気がさしたのではないかと思っている。

先輩のリプニツカヤがどういう扱いを受けてきたか、間近に見てきたであろう彼女は、自身の一次ピークが終わりかけ、今後どのような扱いを受けるか予想がつくだろう。

「自分が調子よかったときは~」といった批判もあるだろうが、その気遣いを10代半ばの少女に要求することは酷ではないだろうか。

また、「羽生狙いか!?」というバカみたいな記事もあるが、五輪前その媒体は「オリンピックが終わったら羽生はクリケットを離れる」という記事を出していたはずなのだが、その話はピタリとなくなったことからも、いかにガセネタか分かるというもの。

今回のルール改正でタノジャンプが加点対象から外れたとのことで、メドベの新プログラムが楽しみである。

日本人選手の移籍は、本田真凛デトロイトへの移籍が発表されている。

これももの凄い叩かれようなのだが、彼女の練習嫌いへの対処は日本的な根性論よりも、欧米の合理主義の方が向いていると思うので、良い選択ではないかと思う。

一時期の海外コーチブームの反動か、現在日本人のトップクラスの選手は男女ともにほぼ国内のコーチについているが、選手によっては海外のコーチの方がもう一皮むけそうだと感じている。

特に本郷理華には、以前から海外のコーチの方が良いのではないかと思っていた。

長久保コーチを追いかけて拠点を移したほどなので、長久保コーチとの信頼関係を大事にしていたと思うのだが、彼はコーチ業を引退してしまったので、移籍するなら今ではないかと思うのだが。

●コーチと振付師

以前からとても気になっているのだが、コーチと振付師の癒着、とまではいかないが繋がりが強すぎる。

特に海外のコーチ陣はその傾向が強く、コーチと連動して振付師が8、9割決まってしまう。

シェイ=リーン・ボーン、デイヴィッド・ウィルソン、ジェフリー・バトルの3人がいるクリケットクラブはかなり贅沢な方で、フランク・キャロルにつくとほぼ100%ローリー・ニコルだ。

モロゾフ時代の安藤美姫高橋大輔も、99%はモロゾフのプログラムだった。

日本人のコーチは海外振付師との繋がりが薄いため、選手の希望である程度自由に振付師を選べている感じはあるが、それでも毎年振付師を変えていた高橋大輔のような選手は少数派。

もちろん個々の振付師は皆素晴らしい方々だが、どうしても“振付師の色”というものはある。

個性的な振付師であれば尚更だ。

様々な振付師のプログラムを滑ることは、選手の引き出しを増やし、表現を磨く上でとても重要だと思う。

例えば羽生は、クリケットも長いのでぜひ外部の振付師を試してほしい。

ローリー・ニコルマリーナ・ズエワの繊細なプログラムもハマるだろうし、ミヤケンやパスカーレの妖艶さも見てみたい。

宇野昌磨はほぼ全て樋口コーチの振付なので、日本人でもいいので他の色を入れてはどうか。

(Ex.プロでは多くの外国人振付師のプロを滑っているのだが、試合用のプロは全て樋口コーチ(と山田コーチ)であることから、彼がいかにコーチ陣に愛されているかが分かる。)

樋口新葉本郷理華はシェイ=リーンが続いたので、他の外国人振付師のプロも見てみたい。

(樋口はマッシモ・スカリとシェイ=リーンが2年連続)

宮原はローリーとトム・ディクソンが多いので、パスカーレやモロゾフ、正統派ならタラソワなどはどうだろうか。

関わる人が変われば、選手の新たな一面がまた引き出される。

これから3シーズンかけて自分に合う振付師・プログラムを研究し、次の五輪に備えてほしい。