宮木あや子作品はB面=軽いと思って安易に読むと火傷するから気をつけろって話。
宮木あや子原作のドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』が話題です。
宮木あや子は、2005年に「女による女のためのR-18文学賞』の大賞と読者賞をダブル受賞してデビュー。
デビュー作は、安達祐実主演で映画化され話題となったこちら。
私はこの作品の漫画版をジャケ買いし、ハマりにハマって速攻原作を買いに走りました。
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で、『校閲ガール』が話題となり、原作者さんにも注目が集まっているのですが、その中で気になるのが、
- 宮木あや子作品にはA面とB面がある
- A面=重い、B面=軽い
- 『校閲ガール』で宮木さんに興味持ったらB面作品から読むといいよ!
というアドバイス?が流布されていること。
いや、確かにそうなんですけど……。
というか原作者様ご本人が、
昔からの読者様と私は、内容が重いほうをA面、軽いほうをB面と呼んでいます。
A面=ナイトメア B面=仙台貨物 くらいの差だと思っていただければだいたい合ってます。
同じ名前の別の人が書いた本だと思って読んだほうが脳内での処理がラクです。
と書いているので間違いではないと思うのですが、個人的には軽いはずのB面作品の方がグサグサ刺さるというか、心が抉られるというか。
何でかって、A面はファンタジーでB面はリアルだからですよ。
A面作品は、歴史ものだったり、現代の日本を舞台にしたヴァーチャルな世界の話なんだよ。
だからどんなに重くてもグロくてもエロくても、「どこか遠い世界のお話」と受け止められるんだよ。
でもB面は、主人公は大体アラサー女性で、自分と同じように仕事や恋愛や結婚や、その他日々の出来事に笑ったり悩んだり耐えたりしながら、頑張ってる人たちの話なんだよ!
自分にとってはB面の方がリアルすぎるし、分かりすぎるし、現実の厳しさ突きつけられ感が半端ない。
大体、“軽い”と思って読み始めた本に、風俗で働いてた人が客と恋仲になってその人が末期がんで看取るために葬儀社に入社するとか、元恋人の結婚式をプランニングさせられた女性とか、子宮内膜症の手術したら卵巣1個取る羽目になったとか、不倫の末に恋人に変な薬渡されて自殺未遂とか、歴代彼氏に殴られてきたDVサレ体質の女性とか、そんなのゴロゴロ出てくるなんて普通思わないでしょう。
そんなわけで、宮木あや子作品を人に薦める時は、私は専らA面の代表作から薦めるよ。
『花宵道中』と、それが好きなら『白蝶花』も。
歴史好きの人には自信を持ってお薦めできる。
歴史に興味がなく、現実の厳しさを軽く笑い飛ばして乗り越えていけるような相手ならB面薦めるけど、不特定多数の相手に訴えるメディアで
「B面作品なら軽いから気軽に読めるよ~」
「『校閲ガール』好きなら、他のB面作品も!」
と安易に薦めると、宮木あや子一見さんは大火傷するかもしんないから、その薦め方はどうかなーと思う今日この頃。
まあ、作者様ご本人が言っているので、あれなんですけど。
ちなみに、A面のエログロ系好きの人は、B面だと物足りない……ってことはないと思うけど、やっぱり違う人が書いた本だと思って読んだ方がイロイロ楽だと思います!