もはや300点どころの騒ぎじゃない――NHK杯2015
ショートプログラム:106.33
フリースケーティング:216.07
合計:322.40
なんですか、これは。。。
まずはショートプログラム。
第1G最終滑走だった中国の4回転サイボーグ2世、金博洋が4Lz+3Tのコンビネーション、4T、3Aを綺麗に決め、95.64のハイスコアをマーク。
ところが、SP最終滑走だった羽生は、4S、4T+3T、3Aという金博洋よりも少し劣る構成、かつ金は後半に4Tを跳んでいるが、羽生が後半に組み込んだのは3A。
にもかかわらず、SPの合計得点では羽生が金を10点以上も上回りSP首位に立った。
どうしてこのような点差になったのか?プロトコルを検証してみたい。
まずはジャンプ。
羽生のジャンプによる得点は、
4S(11.50)+4T+3T(17.17)+3A(11.78)=40.45
一方、金のジャンプによる得点は、
4Lz+3T(19.33)+3A(10.07)+4T(12.04)=41.44
なんと、ジャンプによる得点は金の方が約1点ほど上回っている。
しかしTES合計では、羽生が約3点ほどリードしているのは、スピン・ステップによるものだ。
- 羽生:スピン=13.19、ステップ=5.80、合計=18.99
- 金:スピン=11.05、ステップ=4.01、合計=15.06
特に金は、ステップのレベルが3になってしまったこと、羽生に比べGOEの伸びが低かったことが大きい。
羽生は全ての要素でGOE+1以上をもらっているが、金は冒頭の2本のジャンプ以外は全て1未満に留まっている。
さらに大きく差がついたのがPCS。
金が軒並み7点代後半なのに対し、羽生は9点台を並べており、約8点近い差をつけている。
そこはやはり、オリンピック金メダリストとシニアデビューイヤーの差が出たと言えるだろう。
ただし、金博洋も今後プログラムの密度を上げ、ランクを上げていくことで、来季以降どうなってくるかは分からない。
ところで、今日のフリー開始前、羽生にはある期待がかかっていた。
男子初の300点超えである。
私は今までフリーの点数をどう伸ばして200点を超え、合計300点を超えるか、ということばかり考えていたのだが、まさか唯一の3桁得点を持つSPの点数を5点近くも更新して、300点超えの可能性が浮上するとは全く考えていなかった。
このSPの得点をもってすれば、自己ベストを出せば300点は超える。
しかし蓋を開けてみれば、羽生はさらにその上をいきフリー216.07。
やはり全ての要素で加点をもらい、一部ではGOE爆盛り。
技術点118.87。
更にPCSも97.20とほとんど満点に近い得点。
この羽生の演技と得点を見たスケオタ達は、羽生を化け物とか宇宙人とか色々な言葉で表現しているが、陰陽師だけに物の怪の力を操っていたのではないかと思われるような演技だった。
果たして、今後この得点を羽生以外の選手が更新するまで、一体何年の時を費やすのだろうか?
今のところ「いつかこの選手なら……!」と思う選手は、ジュニアまで見渡しても見当たらない。
しかし300点のラインは、今後超えてくる選手がポロポロと出てきそうだ。
平昌五輪男子シングルは、確実に300点台のメダル争いになるだろう。