大番狂わせ――スケートカナダSP
スケートカナダが開幕しました。
今大会の注目はなんといっても、羽生結弦 vs パトリック・チャンの新旧王者対決だったわけですが……。
男女共にちょっと信じられない結果となっていますね。
まずは男子SP結果。
1位:村上大介(日) 80.88
2位:パトリック・チャン(加) 80.81
3位:アダム・リッポン(米) 80.36
4位:ナム・ニューエン(加) 76.10
6位:羽生結弦(日) 73.25
期待の羽生はなんと4回転が2回転に、更に3Lz-3Tが3Lz-2Tになり、ザヤック・ルールに引っかかってノーカン……。
4回転も「ステップからの3回転(以上)ジャンプ」のルール違反でノーカン……。
ジャンプ2個分がまるっと0点になってしまい、自己ベストを25点以上下回る得点で6位発進。
しかし、PCSは8点台後半~9点台前半を並べさすがの1位。
PCSがチャンをも上回るようになったのは大きな成長ですね。
また、冒頭のトリプルアクセルは文句のつけようのないできで、当然のごとくGOE+3をもらっています。
思えば昨年も、このジャンプ構成でSPが上手くいっていませんでした。
怪我をする直前、中国杯のSPです。
その後、怪我の影響があり構成を変えた後は、順位に大きな影響を与えるような失敗はなくなりましたが、やはり難しいプログラムなのだと思います。
しかしそれ以上に、曲のリズムが羽生のタイミングに合っていないのでは?ということを疑うべきかもしれません。
パトリック・チャンは流石の一言。
全体の2/3以上がステップで構成されていたのではないでしょうか。
ただ、苦手のトリプルアクセルでの転倒があり、更にルッツが2回転となって点が伸びませんでした。
ナム君はトリプルアクセルで転倒。
まだPCSがそれほど高くないこともあり、ミスがあると点が伸びません。
今大会、男子TOP6ではノーミスの選手が皆無だったのですね。
そんな中でミスを最小限(4回転でバランスを崩す)に留めたダイスがSPを1位で折り返しました。
が、3位までが0.52点差、TOP6でも7.63点差という大混戦です。
SPで大きく後れをとったように見える羽生にも、充分に優勝の可能性は残っているでしょう。
2シーズン前まで滑っていた「パリの散歩道」が無双過ぎて忘れられていますが、羽生はもともとショートで点差をつけられてフリーで盛り返すタイプです。
ファンも、「どうしちゃったの……」ではなく、「これで明日のフリーが……!」という反応が多いようで(笑)。
次に女子。
1位:アシュリー・ワグナー(米) 70.73
2位:永井優香(日) 63.35
3位:村上佳菜子(日) 59.79
4位:ケイトリン・オズモンド(加) 59.21
5位:ポリーナ・エドモンズ(米) 56.85
6位:ジョシ・ヘルゲション(スウェーデン) 56.26
7位:エリザベータ・トゥクタミシェワ(露) 55.37
こちらも色々と番狂わせが起こりました。
まずはSPを1位で折り返したワグナー。
ワグナーのSP70点台というのは、私の知る限りちょっと記憶にありません。
更に今回大きな収穫だったのは、回転不足を1つも取られなかったことです。
明日のフリーでも同じような演技ができれば、今季のワグナーは楽しみです。
永井の高得点は個人的にはちょっと意外でした。
ミスはなかったものの、全体的にスピードがないように感じたので、あそこまで点が伸びるとは思いませんでした。
また、曲と衣装が真央ちゃんのフリーとモロ被り……。
「蝶々夫人」だと、みんなああいう衣装になってしまうのでしょうか。。。
村上佳菜子、スランプ脱出しましたね!多分(^^;)
丁寧に滑ることがマイナスに作用していた昨季までと違い、本来の魅力である思い切りの良さが戻ってきました。
ラストのステップも情熱的で、大人の滑りを魅せてくれたと思います。
そしてこれが最大の番狂わせだったかも……?トゥクタミシェワです。
冒頭のダブルアクセルは綺麗に決めましたが、ルッツノーカン。
スピンは規定要素を満たしておらず、極めつけは連続ジャンプの失敗が響いて、直後のステップとスピンが全部ずれた……。
音に追いつくためにエッジワークが雑になったのか、ステップのレベルも2になっています。
少なくとも昨季の活躍がまぐれだったと言われない程度には頑張ってほしいですね。
しかし、選曲は相変わらず私好み……かつ本人の雰囲気にも合う良いものを選んでいると思います。
男女共に絶対王者がまさかのスタートを切った波乱の幕開け。
一時のスランプなのか、世代交代の兆しなのか……?
明日のフリーを待ちたいと思います。