Fleur de Noir

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【映画評】スウィーニー・トッド

見てきました。
ジョニー・デップ×ティム・バートン
スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~』


なんていうか……。

血みどろだね(爆)。

何かの映画評で「あそこまで血みどろにする必要があったのか?」と評されていたけど、私はむしろ「ミュージカル仕立てにする必要があったのか?」という気がしてならない。
まあ、元がミュージカルの映画化だから仕方ないけど。

血みどろにする(無差別大量殺人)には必ず理由がなくてはならない。
(や、現実の犯罪者は知らんけど、少なくともドラマの中では。)
ミュージカルだと歌の分ストーリーがどうしても荒削りになって、登場人物の複雑な心情を説明しきることが難しい。

一応トッドには、「復讐」という理由があるのだけど、弱いよ。限りなく弱い。
だから「血みどろすぎるのでは?」などという評が出てくるのだよ。

ついでに言うと、ブロードウェイ・ミュージカルのはずなのにウェストエンド流のミュージカルになっていたところも一因かと。
(元のミュージカルがそうなんだから、仕方ないけど。)
イギリスの話だからかな?

感情の高まりが歌に変わるブロードウェイ・ミュージカルと違って、科白そのものが歌になるウェストエンド・ミュージカルは感情を伝えるのに向かない。
音楽の旋律自体も科白っぽいメロディ(話す抑揚に近いってことね)だったしなあ。
作曲家は“ブロードウェイ・ミュージカルの巨匠”だと聞いていたのに、ナゼ!?

でも映像の作り方は流石だね。
色を抑えたモノクローム主体の画面に、嘘のように赤すぎる血。
血の赤だけを強調するような加工をしていたらしいけど、お陰で血のりが嘘ものっぽくなって、猟奇殺人のストーリーを、辛うじてファンタジーの領域に留めてました。

血みどろ系は記憶にある限り、『フロム・ヘル』と『ブラック・ダリア』に続き3本目ですが、やっぱり『フロム・ヘル』が一番出来が良かったと思います。