Fleur de Noir

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【劇評】着る・切る・kill・生きる……キル

野田地図(NODA・MAP)第十三回公演
『キル』@Bunkamuraシアターコクーン
作・演出:野田秀樹
出演:妻夫木聡広末涼子、他

 

10年位前に友達が文化祭のクラス劇でやったのを見に行って、大好きになった作品。
ずっと野田版が見たいと思っていたのだけど、ついに実現しました。

ただ、舞台の出来としてどうかというと…………イマイチ。
妻夫木は声嗄れてるし、広末は甲高いキンキン声でアタマ痛いσ(--#)
(会社の後輩が年末に見に行った時は、妻夫木は喉をつぶして科白を噛みまくっていたらしい……)

演出として色々な人が一度に喋るシーンが多いのだけど、それをやるには、役者全体のレベルが低すぎ……(何言ってるか分からない)。

でもね。。。
やっぱり妻夫木は凄いのです。
今回が舞台初出演で、発声が未熟だから声嗄らすし、台詞回しも、棒読みとは言わないけどちょっとなあ……という感じだけど、何というかオーラというか、伝わってくるものは非常に大きかったです。
今後、場数を踏んでいけば、確実に凄い役者へと成長していくんではないでしょうか?
映画やドラマではいい演技してるしね~。
ジョゼと虎と魚たち』は最高です。

広末も、決して下手ではないと思うんだけど、普通に喋ればいいのに……と思いました。
彼女にも、ボイトレ&発声練習をもっとして欲しいところ。

そんな中、脇をしっかりと締めて素晴らしかったのが、結髪を演じた勝村政信さん。
主役ではないけど、主役よりも科白が多く、主役よりも物語の鍵を握る重要な役どころ……。
これをはずすとイタイ……というところは、さすが野田さん、ナイス・キャスティングです。
ただ、こう言っちゃなんだけど、
勝村さんは“決して主役にはなれない、いい役者”なのです……。
妻夫木みたいなオーラというか想いというか・・・もうこれは才能だから仕方ない。
可哀相だけど。

それにしても野田さんは、稀に見る“出たがりの演出家”ですね……。
こんなに自分の作品に出演している演出家を、私は他に知りません。
三谷さんも、成井さんも、蜷川さんも、大体演出家って人見知りだったり恥ずかしがり屋だったりするものだけど……。
あ、役者出身の長塚さんはまた別ですが。

野田さんの出演は、ファンとしては面白いのかも知れないけど、その役が合っているかというとこれまた微妙なので、演出家としてはもう少し考えて欲しいところ。