【劇評】春と爪
何もかもが うすぼやけて
はっきりしない 色をして
別れたばかりや 出会ったばかりの私たちを
ますます 途方に暮れさせる
なまあったかい風は 甘い花のにおいと
おかしな 記憶を つれてくる
たとえば
手をつないだとき
彼女の爪が ほんの少し くいこんだこと
ちくっと 私の手に
ちくっと 私の
どこかに
春だった あれは たしかに
『春と爪』チラシより抜粋
そんなわけで今日は、私の好きなクレネリ♥ZERO FACTORYの第8回公演を見に行ってきましたー。
クレネリは大岩真理さんという方の芝居を上演する劇団なのですが、とにかく脚本がいつもすごい……。
人間が確かに心の底では思っていて。
でも「それ、言ったら終わりだろ」と考えて言わないことってたくさんあると思うんだけど。
そんな言葉がセリフとなって紡ぎだされ、加速度的に全てが狂っていく……。
人間の心の古傷を抉り出すような、そんな舞台。
今日の公演も物語の中盤から、登場人物の本音が暴かれていって、実は殺人犯だった人がいたり、人が死んじゃったり。
何でそんな舞台をいつも見にいってるのか……。
多分、誰の心の内にも潜む“狂気”を見に行ってるんだと思う。
どんな人間でも必ず持ってる“負の感情”を見に行ってるんだと思います。
あと本多真弓さんという女優さんを見に行ってるかな。
なんかすごい特殊なフェロモンの持主で、彼女が出てくると舞台の空気ががらっと変わる。
そんな独特の雰囲気を持つ素敵な女優さんです☆
人間の深層心理に興味がある方は、一度足を運んでみることをお薦めします。
2020年8月7日追記
現在の活動状況を調べてみたところ、本多さんは活動されているようです。
大岩さんは最近書いてないのでしょうか?
クレネリZEROファクトリーは活動休止中とのこと。
また見たいなあ、大岩さんの脚本。