2019-20 男子シングル雑感
GPSもあとはファイナルを残すのみ、となったところで、今シーズンの男子シングルについて思ったことをつらつらとまとめようかと思います。
絶好調!羽生結弦
昨シーズンを終えた段階で、私は羽生の競技人生のピークは、ソチから平昌五輪の間の3年間であった……と思っていました。
たとえ4Aを決めることがあっても、プログラム全体の完成度としては、2014~2018年を上回ることはないであろうと。
喜ばしいことに、その発言は訂正しなくてはならないようです。
今シーズン、羽生のショート・フリーは完成形に近づきつつあります。
ここに4Aが入ってくれば、もう一度パーフェクトのネイサン・チェンの上に立つことも不可能ではないでしょう。
実際、スケートカナダでは、322.59とネイサンのベストスコアまで1点未満まで迫っています。
GPFでは、今季初の直接対決となりますが、果たして……?
しかし、大本命はやはり世界選手権でしょう。
また、他の日本男子選手の現状を鑑みると、北京まで現役を続ける……という算段も現実味を帯びてきます。
少なくとも、出場権を獲得することは容易だと思われます。(怪我さえしなければ……)
状況次第では、前人未到の三連覇!!というのも夢ではありません。
迷走中!宇野昌磨
今季は特定のコーチを定めず、個人での練習を積むとした宇野。
迷走していると言われても仕方ない状況が続いています。
シーズン開始前はそれほど気にしていなかったのですが、コーチ不在ということがこんなにも影響のあることかと改めて感じました。
ジャンプが決まらないのは、私はそれほど心配していません。
気になるのは、昨シーズンまでの宇野ならば確実にレベル4を揃えてきたスピン・ステップの取りこぼしが多いことです。
1回のフリーでスピンが1つレベル3になることはままありましたが、複数のスピンがレベル4を取れなかったり、レベル2になってしまう……ということは、シニアデビュー以降なかったと思います。
その辺の細かなチェックが行き届かないのが原因かなと思います。
ただ、今シーズンは五輪の狭間で、最も色々試せるシーズンではあるので、複数のコーチのもとを渡り歩いて、一番相性の良いコーチを模索しているのでは?とも思えるので、このまま特定のコーチを決めずにいくでしょう。
その中で相性の良いコーチと改めてタッグを組み、2シーズンかけて五輪の金を目指す、ということであればそれほど悪いプランではありません。
復調!山本草太
山本草太が、4-3を決めるまでに回復してきたのはとても喜ばしいことです。
あのままいけば平昌の3枠目に滑り込めたであろうに、3度の骨折で全てがゼロからのスタートになってしまいました。
加えて、今シーズンの他選手の調子を考えると羽生以外は全く調子が読めず、世界選手権の出場チャンスは山本にも充分にあります。
このままいけば、宇野すら出場が危うい。。。
彼のスケートはスーッと滑らかで、それだけで観るものを惹きこむ力を持っています。
ここにジャンプが確実に決まるようになれば、世界トップクラスへの仲間入りもそう遠いことではないでしょう。
大人気!Blues for Klook
今シーズン、何故か大人気のこの曲。
私が確認しただけでも、カナダのナム・ニューエンとロシアのアレクサンドル・サマリン、他1~2名(誰だか忘れた)がこの曲を使用。
そして、Blues for Klookといえば!!
2011-2012シーズンの高橋大輔のフリーですよ!
JOで初披露した時はそれはもう凄い(酷い)点数でしたが……。
その時からデーオタの皆さんは確信していたと思います。
「このプログラムは……育ったらすごいことになる・・・!」と。
結果、育ちました。
2012年の世界選手権銀メダル、その後の国別対抗戦でPB更新ですよ。
今季、この曲を使っている人たちを見るに、ナム君のは明らかに高橋へのオマージュでしょう。
振り付けも、当時の高橋を意識した動きが多く取り入れられています。
彼は以前にも、「道」を使っているし、今季のフリーはビートルズだし、高橋のファンなのかな、と。
けど、サマリンとその他の人は全然分からん……。
いや、これが『ムーラン・ルージュ』みたいなフィギュア定番曲とか、昨年の大ヒット映画のサントラとかならそんなびっくりしないんですけどね。
ボーカル曲解禁直後のシーズンは「オペラ座の怪人」が大人気だったし。
Blues for Klookは、多分今まで高橋しか使ってないんじゃないかと思うし、曲自体もそんなメジャーな曲とは言えませんからねえ。
あと、「シンドラーのリスト」も、NHK杯で二人の男子選手がフリーに使っていて驚きました。
男子ではないけど、宮原も今季使ってるし、何かの記念イヤー(ホロコーストの何かから○年、みたいな)かと思ったけど、どうやらただの偶然のようです。
同じ曲で滑っているのを比較してみるのも面白いかもしれませんね。
今年も混戦必至の世界選手権代表枠
というわけで、今季も日本男子は競争が熾烈です。
けど、3番手以降の選手にとっては大チャンスの年でもあります。
例年、羽生と宇野は固定で、残り1枠を3~5人くらいで争っている感じでしたが、今季の宇野の調子だと、残り2枠を5~6人くらいで争うことになりそう。
山本、友野はもちろん、島田にもチャンスがありそうです。
今からGPFと全日本が楽しみですね!