高橋大輔現役復帰宣言!“やり残したこと”とは何か?
高橋大輔がまさかまさかの現役復帰を宣言した。
思い起こせば2014年の引退会見では未練たっぷりだったが、引退後のインタビューなどでは「もういい、もう無理(レベルが高すぎて)」とコメントしていたので、現役復帰はもうないと誰もが思っていただろう。
しかし、やはり心残りがあるとのことで、32歳にして驚きの現役復帰である。
フジテレビ系「Mr.サンデー」での記者会見の様子と、「S-PARK」に生出演しているところを見たが、非常にすっきりとした顔をしており、充実した練習が積めていることが伺える。
思えば現役引退してからの高橋は、“迷走”していたと言ってもいい。
語学留学したかと思えば途中で切り上げて帰国したり、アイスショーに出たり舞台に出たり、正直どこへ向かっているのかファンも???だった。
本人も「オファーがあるなら何でもやりたい」と語っていたし、彼が自分の道を見つけるのをファンはあたたかく見守っていた。
今回彼が現役復帰したのは、2013-14のオリンピックシーズンに現役復帰した安藤美姫や、ソチ後1年の休養を経て復帰した浅田真央と基本的には同じ心境ではないか。
浅田や安藤も「やっぱりスケートが好き」という想いで「もう一度現役で滑りたい」と戻ってきた。
二人に比べて少々時間はかかったが、基本的には彼女たちと同じところへ戻ってきたのだと思っている。
高橋のソチ五輪のフリー演技を一言で表すなら“諦念”だと思う。
転倒し、もうメダルは無理だという気持ち、もう跳べないという気持ち。
そういったある意味での諦めの気持ちが、パーフェクト神演技をする時とはまた別次元の“ゾーン”に至らしめた。
そして五輪後の世界選手権は怪我のため欠場した。
あの時、高橋の膝は確かに限界だった。
しかし、もう一度“万全の状態”でどこまでやれるか試したい、という気持ちが残っていたのではないか?
現役最後の年の浅田も安藤もジャンプが思うように跳べなかったが、慢性的な腰痛などは別として特にどこか怪我をしていたわけではない。
年齢による衰えや体力などから「もう限界」という気持ちだったのだろう。
だが高橋は「膝の状態が良ければ」という気持ちがどこかにあったのではないか?
だから4回転を複数入れる構成は難しくとも、健康な状態でもう一度滑りたいと思っていたのではないか?
高橋は、昨年の全日本を中継席から見ていて、突然「もう一度現役でやりたい」と思ったと語っていたが、そのきっかけの一つが3度の骨折・手術を乗り越えた山本草太の演技だった、というのも感慨深い。
順調にいけば平昌の3枠目を狙える位置にいたにもかかわらず、度重なる怪我で全日本出場が精いっぱいだった山本。
全日本選手権は、五輪や世界選手権の代表選考会を兼ねてはいるが、選手それぞれに目標があり、必ずしも代表争いがゴールではない選手もいる。
「勝てないならやるべきではないと思っていた」高橋が、彼らの演技を見て「出るだけでもいいのか」という境地に至ったのであれば、ファンとしてはぜひ応援したい。
そしてもう一つ、高橋の“心残り”ではないかと思うことがある。
それは、「長光コーチを泣かせること」。
ソチの前年くらいのインタビューで「まだ先生を泣かせていない」という話をしていた。
長光コーチも「まだ泣かされてないから、まだ頑張って」と言っていた。
しかしその願いは叶わないまま、現役を引退した。
もう一度選手に戻ったからには、ぜひ「長光コーチを泣かせる」という目標も達成してほしい。
さて、高橋は近畿選手権から西日本選手権を経て全日本を目指すことになる。
冷静に彼の現在の“得点”を分析するに、私は“シニア1年目のトップ選手と同レベル”だと思っている。
現状、日本の男子シングルは羽生・宇野の2TOPは揺るぎない。
1位と2位が入れ替わる可能性はあるが、3番手以下は皆団子状態である。
とすると、高橋が全日本のTOP6に入り、最終Gでフリーを滑る可能性は十分にあるのではないか?
全日本でTOP6に入りそうな選手を考えるに、
- 羽生
- 宇野
- 友野
- 田中
- 山本?
- 高橋?
となり、可能性は決して低くないと思う。
これより上にいけるかどうかは、4回転の出来次第というところか。
また、須本、三宅、島田らジュニア勢(シニアに上がる?)がどのくらい伸ばしてくるかでも状況は変わってくる。
入れ違いで無良とダイスが引退したというのも大きいだろう。
少なくとも、羽生か宇野を抜いて他の選手が2位以上に入るよりは、高橋が6位以内に入る可能性の方が高そうである。
まずは全日本選手権に出場しないと話にならないが、少なくともそこまでは上げてくるのではと踏んでいる。
今から年末の全日本選手権が楽しみで仕方ない。
余談
近畿選手権と西日本選手権の会場は、キャパ大丈夫なのだろうか……。