エリック杯中止―GPFへの影響
先週末行われたエリック・ボンパール杯。
なんと、SPが終わった直後にパリ市内でテロがあり、同じフランスのボルドーで開催されていた同大会は、FSおよびエキシビションの開催が中止になってしまった。
既に周知の事実だが、このエリック杯はグランプリ・シリーズの1大会で、ここでの順位ポイントが12月のグランプリ・ファイナルへの進出を左右する。
今のところ、SPの順位をそのまま確定としてポイント換算するという案が有力だが、まだ正式に発表されているわけではない。
しかしそうなった場合、GPF出場選手に大きく影響しそうなので、SPの順位とポイントから考察してみたい。
まずは男子SPの結果。
1位:宇野昌磨(日) 13+15=28P
2位:マキシム・コフトゥン(露) 13+?=?
3位:村上大介(日) 11+11=22P
5位:パトリック・チャン(加) 15+7=22P
6位:アレクサンドル・ペトロフ(露) 5+5P=10P
7位:マックス・アーロン(米) 15+3P=18P
この中で、実力と反比例して順位を下げてしまったのは、なんといってもパトリック・チャンだろう。
しかし今季、男子は大混戦。
ロステレコム杯、NHK杯に出場予定の選手で、一戦目で好成績を残し、二戦目も無難にこなしてファイナルに進出しそうなのは、羽生とフェルナンデス、コフトゥンの3名。
彼らが3位以上に入ったと仮定して、最低ポイントで計算してみると、
ハビエル・フェルナンデス 15+11=26P
羽生結弦 13+11=24P
マキシム・コフトゥン 13+11=24P
このポイントをもとにすると、ファイナル進出者上位6人は、
1:宇野昌磨 28P
2:ハビエル・フェルナンデス 26P
3:羽生結弦 24P
4:マキシム・コフトゥン 24P
5:パトリンク・チャン 22P
6:村上大介 22P
今大会SP5位のチャンはギリギリ進出がかないそうだし、村上大介も棚ボタで出場の可能性が高まってきた。
2~4位予想の3名が大きく外せば、今回SP7位のマックス・アーロンにも可能性はある。
問題は、スケアメ3位のジェイソン・ブラウンが、NHK杯も3位に入り、22Pで並んだ場合である。
「最高順位の高い選手が優先され」て、チャンがイチ抜け。
通常ならば村上とブラウンの点数比較になるが、村上の得点はフリー1回分がまるまるないことになるので公平とは言えない。
得点まで比較対象になるケースは稀であるが、可能性はある。
最も公平なのは、SBでの比較だろうか?
次に女子。
1位:グレイシー・ゴールド(米) 13+15=28P
2位:ユリア・リプニツカヤ(露) 5+13=18P
3位:ロベルタ・ロデギエーロ(伊) 11+?=?
4位:村上佳菜子(日) 9+9=18P
5位:エリザベータ・トゥクタミシェワ(露) 13+7=20P
グレイシー・ゴールドはほぼ確定だろう。
リプニツカヤは、今大会はSP2位につけたが、合計18Pでは厳しい。
問題は、またしてもSPで大幅に出遅れたトゥクタミシェワである。
そして女子は、有望な選手がロステレコム杯・NHK杯に結構残っている。
エフゲーニャ・メドベデワ(露) 15P
アシュリー・ワグナー(米) 15P
浅田真央(日) 15P
本郷理華(日) 13P
宮原知子(日) 11P
エレーナ・ラジオノワ 11P
永井優香(日) 11P
アンナ・ポゴリラヤ 9P
これら8人が4人ずつ、ロステレコムとNHK杯に出場予定なので、はっきり言って全く読めない。
そこで、私の独断と偏見+若干の希望的観測を持って予想した順位により、ポイント換算してみることにする。
<ロステレコム杯>
1位:エフゲーニャ・メドベデワ(露) 15+15=30P
2位:本郷理華(日) 13+13=26P
3位:エレーナ・ラジオノワ(露) 11+11=22P
4位:永井優香(日) 11+9=20P
<NHK杯>
1位:浅田真央(日) 15+15=30P
2位:アシュリー・ワグナー(米) 15+13=28P
3位:宮原知子(日) 11+11=22P
4位:アンナ・ポゴリラヤ 9+9=18P
上記をもとに、ファイナル進出者6人は……。
1:エフゲーニャ・メドベデワ(露) 15+15=30P
2:浅田真央(日) 15+15=30P
3:アシュリー・ワグナー(米) 15+13=28P
4:グレイシー・ゴールド(米) 13+15=28P
5:本郷理華(日) 13+13=26P
6:?
なんと、ここでもラジオノワと宮原がポイント、順位で同格となってしまった。
唯一、ここが崩れる可能性があるとしたら、今回SPで3位につけたイタリアのロデギエーロが、ロステレコムでも大健闘した場合だ。
4人中3人が自爆して2位以上に入れば、というところだが、メンバーを見る限り、3位はともかく2位は難しいのではないかと思っている。
そして、トゥクタミシェワはどう考えてもファイナル進出が難しい様相となった。
彼女は今季SPの調子が悪く、マスコミは「どうしたの?」というトーンが多いように感じるが、私はむしろ「通常仕様に戻っただけ」と感じている。
ソチ五輪前の好調期も、SPでは後れを取ってフリーでごぼう抜きするタイプだった。
昨季はたまたまSPの調子が良かったので、無敵だったというだけ。
曲の雰囲気に乗って滑る選手なので、SPは時間が短い分、曲との相性が演技を左右するのかもしれない。
さて。
簡単にシミュレーションしてみただけで、得点での比較の可能性が高まってしまった。
一体どうするのだろう。
後々になって揉めないためにも、ISUにはぜひともロステレコムの前にルールを決めておいて欲しいものである。
それにしてもこのポイントを見る限り、今季は女子の方が相対的にレベルが高い。