本郷理華から目がはなせない!――フィンランディア杯2015
東京ヤクルトスワローズが、CS第4戦で勝利し、無事に日本シリーズ進出を決めました!
14年ぶりのリーグ優勝、そして日本シリーズですね。
実は私、野村時代からのヤクルトファンで、しかもツバメ黄金時代の不動のセンター・真中監督×頼れるクローザー・高津ピッチングコーチ!という首脳陣には、往年のファンはみんな大興奮ではないかと思います(笑)。
さて、このブログは「専らフィギュアスケート」なので、野球の話はここまで。
今日の昼間に先週行われたフィンランディア杯が放映されました。
本郷理華が、SP・FS共に1位の完全優勝で、いい形でシーズンのスタートを切りましたね。
注目すべきは今シーズンのプログラムです!
SPは、シルク・ドゥ・ソレイユ「キダム」。
14年の五輪・世界選手権を経て現役を引退した鈴木明子の振付デビュー作です。
ずっと一緒に練習してきた先輩・後輩の間柄ということもあり、本郷の魅力を最大限に引き出すプログラム、かつ、最盛期の鈴木が乗り移ったかのような細かな手の動きや表情など、2分50秒目がはなせず、見ている方も徐々にボルテージが上がっていくようなプログラムでした。
FSは、宮本賢二振付の「リバーダンス」。
こちらも、4分間見ている者の目を釘付けにする、繊細かつ大胆でよく練られたプログラムだと思います。
3つのジャンプで手を上げて、GOEでのプラスを狙うなど、細かいところも1つ1つ得点を積み上げようと努力している様子が見られます。
ジャンプの安定性もさることながら、ステップシークエンス、コレオシークエンス共に、複雑なステップを刻みながらもハイスピードで進んでいく滑りが見事でした。
また、昨シーズンまで少々猫背気味だったのも矯正され、全体的に立ち姿や滑りが美しくなったように思います。
昨シーズン、宮原が世界選手権で銀メダルを獲ったことで、何となく全体的に宮原推しな空気になっていますが、私は彼女のジュニアラストイヤーからの本郷推しです!笑
良いプログラムは選手の魅力を引き出し、選手を育てます。
そしてプログラムそのものも、シーズン終盤に向けてどんどん磨かれ、選手の成長を後押ししていきます。
この2つのプログラムが、今シーズンの本郷の成長を促してくれると期待しましょう。
1つ気になるのは、SP・FSが共に同じような雰囲気のプログラムになってしまうのではないか、ということ。
私はどちらも原曲をよく知らないので、同じジャンル?の曲に聞こえてしまい、衣装も、どちらも緑を基調としたデザインなので。。。
何とか彼女の演技力で、2つのプログラムを別のものとして演じ分けてくれると良いのですが……。
そして冒頭の連続ジャンプが、SP・FSともも2つ目のジャンプでアンダーローテを取られていました。
今シーズンの課題として修正していってほしいと思います。
まずは今季こそ、自力でのグランプリファイナル進出が第一目標ですね!
そしてもう一人、注目すべきはロシアのユリア・リプニツカヤです。
昨シーズン調子が悪く、「ロシアタイマー(※1)発動か!?」と危惧していましたが、今大会を見ると“太った”というよりは、体形変化のために体の重心が変わったことが不調の要因だと思います。
昨シーズン終盤からその兆候はありましたが、身長が大幅に伸び、体つきもすっかり女性らしくなって、2シーズン前と比べると全くの別人です。
跳べているジャンプは軸も細く問題ないので、まだ体の変化に感覚が追い付かず、重心を探っている状態なのかな、と思います。
しかしその体形変化は、彼女に別のアドバンテージをもたらしました。
女性らしい体つきになったことで、元々彼女の特徴であった“体の柔らかさ”が、最大限に活きるようになったことです。
女性ならではのしなやかさ、たおやかさ、そして強さを表現できるようになり、「体が柔らか過ぎて恐い……」とまで感じられた柔軟性が、彼女の魅力を表現する武器になってきたと思います。
五輪当時はほぼ能面のような表情だったのが、笑顔はないものの少しずつ表情を作れるようになったので、今シーズンはもう少し心を開けるようになるといいですね。
そしてリプニツカヤの成長にも、SPの「エルビス・プレスリーメドレー」が少なからぬ貢献をしていると思います。
今まで割と静かな、暗めの曲調が多かったので、このプログラムは新境地ではないでしょうか。
振付がアイスダンスコーチの第一人者、マリーナ・ズエワというのも、表現力にますます磨きをかけてきそうです。
来週からはいよいよスケート・アメリカ!
グランプリシーズが開幕します。
まずは、宇野と宮原のアベック優勝に期待したいですね!
※註
1:主にロシアの女子選手が、二次性徴による体形変化に伴って激太りし、ジャンプが跳べなくなるなど調子を落とすこと。最近の例だと、五輪プレシーズン、五輪シーズンのエリザベータ・トゥクタミシェワなど。筆者、および筆者周辺のスケオタの間での造語です、多分。(他でこの表現を使っている人がいるかどうかは分かりません。)