【書評】“こじらせ”という呪縛
雨宮まみの『女子をこじらせて』を読んだ。
前に、能町さんの“モテない系”シリーズ(?)を読んだ時は、
「まさに自分のことだ!」
と思ったものだが、正直こじらせに関しては、メディアでその内容を見たりしても、 あんまり自分がこじらせているという実感はなかったのであるが……。
“こじらせ”の原典とも言うべき本書を読んでみて、
「あー、自分こじらせてたんだなー」
と改めて思った次第。
著者によれば、“こじらせ”の基本的な定義は、
“女としての自分の価値に自信が持てない”
ことだと言う。
これ、もの凄い納得感。
ここがまた凄くメンドクサイとこだと思うのだが、 “女としての自分の価値”は、親からの愛情では確立できない。
何故なら、当たり前だけど親というものは娘を女として愛しているわけではないからである。
だから私のように、変人の両親から惜しみない愛情を注がれてすくすくと成長した結果、女としての自分の価値がだだ下がりし、悩み多き青春を送るということも起こる。
“女としての自分の価値”を確立していくには、 女同士のカーストの中で上位に入ったり、 男子にチヤホヤされたり、 それは難しくても恋愛をして経験を積んでいくしか方法がない。
それでも私は、普通に恋愛もしてきたし、 雨宮さんよりは多分こじらせ度は低かったと思うのだが、そんな私でも完全に“解放された”と実感できたのは、結婚してからだった。
結婚で何から解放されるかって、“モテの呪縛”から解放される。
一般的に結婚すると(昼顔妻とかは別として)、「モテる」とか「モテたい」とかいうカテゴリーの外に出られる。
例えばそれまでは、
「こんな恰好したらモテようとしていると周りから思われるんじゃないか」
「男を誘っていると思われるんじゃないか」
という変な自意識が働いてできなかった、でも本当はしたいと思っていたファッションや行動ができるようになった。
逆に、
「そんなことしてると、モテないよ」
と言われることもなくなるわけで、人目を気にしなくていい、という意味で、 もの凄く自由になったと感じたのを覚えている。
能町さんが著書の中で、「結婚しとけ、モテない系」と言っていたのは正しかった!と心底実感した瞬間だった。
『女子をこじらせて』は、こじらせ女子の生態解説書であると同時に、 こじらせて自意識でがんじがらめになった女子たちへの解放の指南書でもあった。
著者も、「己の屍を越えて行け」とあとがきで書いているくらいである。
もし、自分に娘が生まれたら確実にこじらせそうなので、10代のうちにぜひ読ませておきたい一冊である。
追記:能町さんの"モテない系シリーズ”とはこちら
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