14-15シーズン総括と来季への展望――国内編
世界選手権も無事に終わり、あとは国別対抗戦を残すのみとなりました。
国別対抗戦はまあ、“お祭り”ですので、今季の総括と来季への展望を思うままに語りたいと思います。
まずは国内編。
男子シングルは、相変わらず羽生が世界をリードしていくのは変わらないでしょう。
国内のライバルとしては、来季シニアデビューを控えている宇野昌磨が無良や小塚を追い越しそうな勢い。
宇野は、ジュニアGPF優勝、世界Jr.優勝と二冠を引っ提げて、堂々とシニアに乗り込んで欲しいです。
余談ですが、宇野の憧れが高橋大輔で、山本草太の憧れは羽生結弦というのは、なんか分かる気がする(笑)。
そして男子シングルは、2008年以降3枠を維持してきた世界選手権の枠が、ついに2枠になってしまいました。
正直、男子で枠取りの危機が生じるなんて全く予想だにしてませんでした。
「羽生はまあ、金は難しくてもメダルはいけるかなー。もし羽生が4位でも、小塚と無良で合計13以内は堅そうだな。」
というのが開幕前の私の予想でしたが、蓋を開けてみれば小塚と無良がショートで出遅れ、フリー第1G発進という大誤算……。
ボロノフのフリー後退で羽生が優勝なら3枠取れるなとは思いましたが、そこで彼に託すのは酷というものです。
来季の最優先超重要課題、代表2人の至上命題は枠を3に戻すこと。
その次の年になると、プレ・オリンピックシーズンで他の国も躍起になるでしょうから、来季のうちに戻しておくに越したことはありません。
(それでも16-17シーズンに落としたら意味ないですけどね……。)
現在、日本男子の勢力図は羽生を頂点に、少し離れて宇野、そこから更に離れて無良・村上、更に日野・田中などが団子状態で並んでいます。
平昌で3枠取れたとして、第三の男は誰になるのか!?来季以降の成績が大きく左右します。
期待の宇野もシニアの壁があるので、ちょっと油断すると第三の男争いに巻き込まれる可能性もあります。
そして小塚ですが、世界選手権後のインタビューを見ていると、もしかするとこのまま引退……という可能性もあるかも知れません。
全日本で魅せてくれた演技を世界選手権でもう一度できれば、メダルもあり得るかと思っていましたが、そうはなりませんでした。
「もう一度、世界の舞台で完璧な演技を」
その想いを叶えて欲しい気持ちは変わりませんが、もう楽になってもいいんじゃないか、とも思います。
次に女子シングル。
宮原が世界選手権初出場で銀メダル。
ラジオノワとポゴリラヤが不調だったとはいえ、ミスらしいミスはフリーのジャンプ1つだけという、ショート・フリー共にほぼ完璧な演技でした。
女子の方が枠取りが心配だったのですが、本郷の健闘も光ってがっちり3枠を確保しました。
個人的には宮原より本郷推しの私です。
今季は、順位こそ宮原に後れを取っている感がありますが、滑るたびにPBを更新しているので、今はあまり成績を気にしなくて良いのかな、と思います。
彼女は、GOEとPCSを伸ばしていくことが今後の課題ですね。
表現力は、現役の日本女子の中ではピカイチ☆だと思うので、良さを伸ばしてほしいです。
鈴木明子から学べることはこれからもたくさんあると思いますが、海外の色々な振付師の作品を滑るのも表現力を伸ばしてくれるのではないでしょうか。
個人的には、パスカーレやジェフリー・バトルの振付で滑る本郷を見てみたいです。
そして、村上ですが彼女も今季で引退か!?という印象が拭えません。
元々現役への未練があまりなく、ソチ前は「オリンピックに出たい」、オリンピック後は「ふがいない演技だったので悔しいからもう1年続けたい」というモチベーションで、1年1年続けてきた選手です。
下からの突き上げも激しく、自分が現役でい続ける意義を見出せるかどうか、が彼女が将来を考えた時に重要になってくるでしょう。
最後にペアとアイスダンスです。
今季を終えて、平昌に向けて大きく期待していた2組が解散を発表しました。
アイスダンスの村元哉中・野口博一組と、ペアの高橋成美・木原龍一組です。
村元・野口組は昨年の4月に結成したばかりで、私も全日本で1度見ただけですが、素晴らしい演技でした。
技の一つひとつの難易度はそれほど高くないものの、結成1年目とは思えないほどの世界観がありました。
現状、日本のアイスダンスを引っ張るのはリード姉弟ですが、クリスの膝の状態を考えると次の五輪まで頑張れるかどうか……(今季で引退かも……とも思っています)。
平井・マリオン組も国籍問題があるため次の五輪には間に合わないし、日本人同士のカップルで平昌の星だ!と期待していただけにとても残念でした。
そして高橋・木原組の解散は日本フィギュア界に大きな衝撃を与えました。
まだ若い二人が、これからどう成長していくのか、楽しみにしていたファンも多かっただけに、とても残念です。
お互いに新しいパートナーを探すということなので、来季以降、国内に2つのペアが誕生して切磋琢磨していければそれはそれで良いことなのかな、と思うことにします。
男女シングルには明るい兆しが見えるものの、カップル競技の展望が今季の始めよりも見えなくなってしまった14-15シーズン。
平昌で団体戦があるかまだ分かりませんが、カップル競技の充実は相変わらずの課題ですね。
次の記事では、世界編を書こうと思います。