競技生活最大のアクシデントに見舞われた羽生結弦。何が正しかったのか?
大変なことが起こりました。
男子フリーの第2グループ6分間練習中、日本の羽生結弦と中国の閻涵が激しく衝突。
二人ともふらついている状態で、特に羽生は頭と顎から流血するほどの怪我を負いました。
簡単な治療が行われた後、改めて6分間練習が再開。
異様な雰囲気の中、頭に包帯を巻いた状態で6分間練習でリンクインする羽生を見て会場に動揺が走りました。
ふらついているのも気になりますが、時々咳込んでいたのが気がかりです。
肋骨にひびが入っているか、脳震盪の影響で吐き気がしていたのか……。
そして、滑る気満々の羽生を見て一度は棄権すると発表されていた閻涵も滑り6位入賞。
羽生は何と、ジャンプを5回も転倒しながらもフリー154.60点をマークし、2位に入りました。
演技構成点84.02点には、多少のボーナス点も含まれていたかもしれませんが、怪我をおして滑る姿は鬼気迫るものがあり、魂に訴えかける演技だったと思います。
この出来事には日本中、世界中から賛否両論があり、スポナビのブログも物凄い勢いで更新されていきました。
基本的には、二人の演技には称賛を送りつつも「誰かが止めてあげるべきだった」という意見が大半のようです。
私の意見としては、まずオーサーコーチは無理やり気絶させてでも棄権させるべきだった、と思います。
体への影響が心配なので実際にはできないでしょうが、気持ちとしては鳩尾に一発食らわせるくらいのことをしてでも止めて欲しかった。
ふらついた状態で滑ることで更に怪我を重ねてしまう可能性もあります。
また、TVで見ている限りでは流血し、しばらく起き上がれなかった羽生の方が閻涵より重傷に見えましたが、頭の怪我は詳しい検査をしないと外見からは分かりません。
羽生の強行出場が閻涵の強行出場を促したという面は否定できないので、そういう意味でも(他の選手への影響を考えても)コーチは棄権させるべきだったと思います。
しかし、出場することを選択したのは羽生・閻涵、両選手自身です。
今日の選択が果たして正しかったのかどうか……それは、今季が終了するまで、下手したら数年先まで分からない、と思っています。
今季、世界選手権終了時の結果を見て明らかに中国杯での怪我の影響で良い滑りができない、そして今後の彼の競技生活に影響が出るような重大な後遺症が残る、というようなことがあれば、強行出場はやはり選択ミス(というか止めなかったコーチのミス)ということになります。
逆に、今回の怪我が見た目ほどには重症でなく、NHK杯でも良い演技ができたとしたら、今回2位に入ったことでGPFに出場できるかもしれない。
GPF2連覇の望みをつなぐこともできます。
フィギュアスケートの解説本を多数執筆している田村明子さんが、著書の中で「時が満ちている選手はどんなアクシデントも最終的にはそれが良かった、という結果になるもの」というようなことを書かれていた。
今回のアクシデントが、羽生結弦にとって「時が満ちていた」という結果になることを心より願っているが、今現在その答えは神のみぞ知る、というところだ。
=============================
執筆中に、羽生選手の怪我について新情報が入ったので追記します。
TBS系「S☆1」によれば、顎の傷を7針縫い、頭部の傷は浅かったのでホッチキス(!)で止めたということです。
入院はせず、ホテルに帰って休むということなのでひとまず安心といったところでしょうか。
エキシビジョンはキャンセルして明日日本に帰国し、精密検査を受けるとのことです。